- 2018年11月07日(水)
- -
「玉露生寒」(ぎょくろせいかん)
秋の深まりを一点に凝縮した成語に「玉露生寒」(『李群玉集「秋怨」』など)があります。夏至から冬至にいたる日々を穏やかにすすむ秋は、「金風が暑を去り玉露が涼を生ずる」(『水滸伝「三〇回」』)ことでその訪れを感知することになります。二四節気の秋分を挟んで白露と寒露とがあります。玉露は中国では美酒の例えにいわれますが、日本でのお茶の玉露は茶葉を露のように丸くして煎ったことからがいわれのようです。
移ろいながら人の目を驚かせる「秋色迷人」のきわみが「楓林如火」。満山紅葉で火の海に踏み込んだような秋との出会いは鮮烈です。中国には四大賞楓地があって南京棲霞山、北京香山、蘇州天平山、長沙岳麓山がそれ。その中でも「深秋棲霞、楓林如火」といわれる南京の棲霞山が甲天下の名所です。山中にある棲霞精舎は南斉時代からのもので、ここから日本へ渡った鑑真の記念堂もあります。わが国では京都嵐山をはじめ各地での「紅葉狩り」。季節は霜降から小雪へと移ろっていきます。