- 2019年09月04日(水)
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「晏御揚揚」(あんぎょようよう)
宰相が乗る四頭立て馬車となれば、いまなら超のつく高級車だったでしょう。春秋時代の斉の宰相晏子(晏嬰)が乗る馬車の御者「晏子之御」が、得意がって「意気揚揚」だったのも無理からぬこと。そのようすを見かねて妻がいいます。「六尺にも満たない晏子が宰相として常に控えめなのに、八尺もあるあなたは御者というのに揚々としている」と、志の低い夫に離縁も辞さずと迫ったのです。そののち御者は「意気揚揚」を別の車の御に譲って身を処すようになり、晏子に取り立てられて大夫となったといいます。しかし「晏御揚揚」(『史記「晏嬰列伝」』から)は成語となって残ってしまいました。
とくに財界の新年会などで際立ちますが、都心のホテルでの会合でトップが宴会場へ去った地下駐車場に居並ぶ超高級車。待つ運転手はひまにまかせて周囲の車の値踏みをしながら「晏御揚揚」を実感することになります。運転手でなくとも有名大学や著名企業や高い地位や血筋といったノリモノを振りかざす人物はさながら「晏子之御」なのです。