東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2019年12月11日(水)
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「衆口一詞」(しゅうこういっし)

 多数の人が参加して論じているうち内容が練り上げられ(衆心成城、衆口錬金)、意見がひとつのことばにまとまることを「衆口一詞」(『醒世恒言「巻二〇」』など)といいます。「衆口一辞」「衆口同音」「万口一声」などいい方は多様ですが。世論・公論を形成し事態を好転させます。一方に是非それぞれ異見をいいあう場合もあります。多くは前者の用例ですが、宋の欧陽修の「衆口一辞」は紛然として止まずという後者の例。
 地球温暖化対策を話し合う国連の「COP25」の締約国会議(マドリード)では“石炭”を残そうという現実的な日本の意見が石炭全面廃棄を要求する国々やNGOの理想的意見によって批判の対象になっています。また香港での6カ月にわたる抗議デモは、民主的な議論の成果を形にして示してきました。12月8日に大通りを埋め尽くした大規模なデモでは、「be water」(水になれ)を掲げています。香港が生んだブルース・リーが残したことばで、抗議活動に参加する自在性を示す「衆口一詞」の例でしょう。
 

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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