- 2020年01月01日(水)
- -
「天下帰心」(てんかきしん)
令和2年の元旦を迎えるNHKの「ゆく年くる年」を見ていたら、成田山新勝寺の本尊不動明王の前で、市川海老蔵が「にらみ」を披露していました。「にらみ」というのは本尊の形の異なる左右の目が表現している天と地つまり天下を見そなわす姿です。
元旦・水曜日に公開する「四字熟語」を「天下」にかかわるものと定めて選んだのが、「天下帰心」(『論語「尭曰」』など)です。民衆に心から信任されて全幅の支持をえて国づくりをすることにいいます。令和になって、そういう世の中に向かうでしょうか。
「天下帰心」には三国時代に曹操の用例が知られます。曹操は「短歌行」で、「周公吐哺、天下帰心」と詠っています。兄武王を助けて周を建てた周公旦は、食事中でも賢人が訪ねてきたと聞けば、口中のものを吐いて会ったといいます。曹操はそれに倣おうとしたのです。食事中だからと人を待たせるようでは天下はとれません。元旦に店を閉めざるを得ないようでは「天下帰心」の世に向かっているとはいえないでしょう。