東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

「両袖清風」(りょうしゅうせいふう)

 TV局の冷房の効いた部屋で、背広を着てワイシャツの襟だけ空けて「クールビズ」を装う解説委員が、電力を確保する「原発再起動」について解説しています。盛夏の午後のひととき、梅雨あけの「電気予報」を気にしながら視聴する方は、ゴーヤのつくる日蔭の窓辺でウチワ片手に浴衣掛け。風が立つたび両袖に清風が戯れます。

「両袖清風」は、橋上を月に随って歩む心地よい実景を詠った元代の陳基の詩によって知られます。が、明代になると兵部侍郎の于謙が、黄河の氾濫で災禍にあえいでいた河南地方での任務を終えて京に戻るにあたって、礼品をいっさい受け取らず、寸物も帯びずに京へもどる晴れがましさを「清風を両袖にし、天(みやこ)に朝(むか)いて去る」(『于粛愍公集「入京」』から)と詠んだことから、以後は実景ではなく清廉な官吏をいうこととなりました。

「両袖清風」を実感できる「和装」もまた貴重な世界の文化遺産です。

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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