東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

「目迷五色」(もくめいごしき)

 色や香は五感を刺激し脳を活性化しますと有名化粧品の宣伝にありましたが、先人は逆に「目は五色に迷う」(沈徳符『万暦野獲編「国師閲文偶誤」』など)といいます。老子は「五色は人の目を盲ならしむ」、荘子も「五色は目を乱す」といいます。

人為的に目立つ色に迷わされていると、色を失っていく夕暮れの風景が目にやさしく、モノクロ写真や映画の情感に深い味があるのに気づきます。小津安二郎の映画『東京物語』もいいですし、アラーキー(荒木経惟)が見撮った愛猫チロ(22歳)の写真は、けっして失われないもののあることを伝えていました。

古来、伝統の五色は青・赤(朱)・白・黒・黄で、これがいわゆる正色です。正色の朱に対して間色の紅や紫が際立つことを「紅紫は朱を乱す」といいます。たしかに朱の衣よりも紫の袈裟や紅裙(紅いもすそ)のほうが目立ちます。しかし正統というものはワンポイント目立たないところにあることを伝えています。 

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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