東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

「泣涕如雨」(きゅうていじょう)

 声にこそ出さないものの、眼から雨のように大粒の涙を落として離別の悲痛に耐えることを「泣涕雨の如し」(『詩経「邶風・燕燕」』など)といいます。『詩経』ではふたたび会えない女性を、野に遠く見えなくなるまで送ったシーンでの涙ですが、幽明境を異にする場面での「泣涕如雨」は、「管鮑之交」で知られる管仲の姿にそのきわみをみます。管仲は自分をよく知り何度となく危機的困難を支えてくれ、みずからは下がって自分を宰相にしてくれた友人の鮑叔芽が死んだ時、低い声で哭き、抑えきれない涙が雨のように下ったといいます。「泣下如雨」ともいいますが、この管仲の姿は、「管鮑之交」ということばに込められたふたりの友誼の深さを伝えています。

柳田国男は、泣くことの少なくなった文明人はことばの力を過信している、「音声や『しぐさ』のどれくらい重要であったか」(泣涕史話、昭和15年)と、講演で言及しています。率直なボディ・ランゲイジ、男泣きの姿を見たいものです。

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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