- 2015年09月16日(水)
- 植物
「十歩芳草」(じゅっぽほうそう)
「十歩のうちに芳草(賢才)が見出せる」ということ。十歩のうちですから身の周り、見渡すほどの範囲の処々に賢才がいるということ。賢才は日月を継いで決して絶えることがないという意識もあるようです。その比喩として芳草、香草、茂草などの違いはあっても、後代の典故には『論語』にみえる孔子のことば「十室之邑、必有忠信」(「公冶長」から)が同時に意識されているようです。
漢の劉向『説苑「談叢」』には「十歩之澤、必有香草、十室之邑、必有忠士」とあり、『隋書「煬帝紀三」』には「十歩之内、必有芳草」と出てきます。
「芳草」については、「桃源郷」(陶淵明『桃花源記』)の桃花林に「芳草鮮美」とあって、まさに才媛を待つ風情です。いまやダイバーシティ(多様性)で、才女・才媛が求められる時代、「芳草」を才媛と読めば、「十歩芳草」はその登場を呼かけるにほどよい「四字熟語」といえそうです。