東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

「命若懸糸」(めいじゃくけんし)

「命」が細い一本の糸に託されているような危うい状態にあることを「命若懸糸」(『敦煌変文集「大目乾連冥間救母変文」』など)といいます。

かつて大正七年に芥川龍之介が『赤い鳥』創刊号に書いた「蜘蛛の糸」の犍陀多(カンダタ)の姿が思い出されます。上記原典では目乾連(モクケンレン)が地獄から母を救い出そうとするのですが、犍陀多は蜘蛛の糸にすがって地獄をのがれて極楽へたどり着こうと喘ぎます。天国と地獄というのは格差が広がってゆく時代の表現だったのでしょう。そこで「自分だけは」と考えた犍陀多は地獄に落ちていきました。後に自死する芥川がその後の生きづらい時代までを予見していたかは不確かですが。

国会前の集会で出会った若い女性たち。将来、産み育てる子どもたちの労苦を予見するがゆえの行動に共感を覚えました。平和について戦いの現場しか語らなかった男たちに対峙する、産む性としての「命」への感性が息づいていました。




webサイトはこちら

堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< December 2019 >>