東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

「哀而不傷」(あいじふしょう)

 詩歌や音楽が優美に湧きあがろうとする感情を適度に抑えて表現されていることを「哀而不傷」(『論語「八佾」』から)といいます。こういう作品は生きる喜びを伝えてきました。『論語』では、孔子が「関雎(かんしょ)」という詩の曲調について、「楽而不淫、哀而不傷」と評しています。訓読では「楽しみて淫(いん)せず、哀しみて傷(やぶ)らず」と読んでいます。淫は現代では性的に狭義に使われますが過度にならないこと。「哀而不傷」は「四字熟語の愉しみ」になくてならない一語です。
 中和の美をたもち哀切さを帯びた感情表現は奥ゆかしく心が洗われます。小沢征爾が「二胡皇后」といわれた惠芬の古楽器演奏で「江河水」を聴いて、「人間の悲切さが奏し出されている」といって感動の涙を流したことがありましたが、それが「哀而不傷」です。比喩としては、極端な左右の立場を制して、過不足なく調和がとれている活動に用いられています。
 
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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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