東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2016年07月13日(水)
  • 自然

「随車夏雨」(ずいしゃかう)

 官吏の訪れによって民衆の憂いを解く仁政を「随車夏雨」(『芸文類聚卷五十「職官部六・刺史」』から)といいます。後漢末のころ、百里嵩が徐州刺史(州の長官)であったとき、清廉でよく民情視察をおこない、百姓の疾苦の解消を怠らなかったのですが、ある年の夏、干天がつづいて穀物の苗は枯れ、赤土が剥き出しになりました。特に州境の山間部がひどく、農民から解決を求められて、百里嵩は車で視察に向かいます。車の巡る先々で「感天動地」、大雨がふって穀物の苗が生き返り、人びとは「刺史雨」と呼んで彼を讃えたといいます。「随車甘雨」ともいい、甘雨はやや神がかりですが、常に地域住民の安寧を願い、民と憂いを分かち合って難を解く精神が百里嵩にあったことを伝えて「随車夏雨」の成語が残るできごとになったといえるのでしょう。故里封丘の墓所の傍らに碑を立てて後人はこの事績をいまに伝えています。
 山間部に車を入れなかった都知事のあったことを合わせ思いつつこの一稿を。
 

webサイトはこちら

堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     
<< September 2019 >>