東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

「嗚呼哀哉」(おこあいや)

 嗚呼も哉も感嘆を示す詞であり、「嗚呼哀哉」(ああ、哀しいかな、『三国志蜀志「諸葛亮伝」』など)は心底からの哀痛の極みを表現しています。唐朝を代表する書家、顔真卿の「祭姪文稿」(台北の故宮博物院蔵)は、安禄山の乱で非業の死をとげた親族の顔杲卿、季明の親子への哀惜の情を切々とつづったものですが、その文字づかいは「文は人なり」を感得させてくれるものといわれ、その中で一瞬、真卿が心を鎮めて「嗚呼哀哉」と一行に書きとめたとき、人の吐露しうるものの極限をきわめたといわれます。
 のち顔真卿は叛軍のなかで堂々と宣諭をおこない、そのまま囚われて幽禁ののち、寺内の大イチョウの下で縊死して「厳霜烈日」の生涯を閉じています。真卿の書体は「顔体」と呼ばれて後世の書家の範とされていますが、風格あるその楷書は明代に印刷版本の書体(明朝体)に採り入れられ、味わいある活字として今に伝えられているといいます。空海も唐の長安でその書風を学んだようです。



 

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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