- 2017年01月18日(水)
- くらし・家庭
「鱗次櫛比」(りんじしっぴ)
さかなの鱗や櫛の歯のように同形のものが整然として次々に並んでいるようすが「鱗次櫛比」(陳貞慧『秋園雑佩「蘭」』など)です。建物やお店や物品などでそういう情景を思い浮かべることができます。古いもの新しいもの、人はそういう人工物の整列した姿に安心感をもつのでしょう。発展をつづける中国では、香港、北京、上海、深圳ばかりでなく、いまや高層ビルが立ち並んでいることが発展の証とばかりに、地方都市はどこも中央部の商業圏では高層化を競い、郊外には同階同色の住宅群が「鱗次櫛比」して出現しています。現代人の安心感が都市の変容のなかに息づいています。
また古いほうでは、自然に囲まれた村落の伝統的建築群が「歴史文化名村(鎮)」として数多く保全・保護されています。たとえば貴州侗族の大利侗寨は、四周を楠の古木に囲まれて、何百戸かの青瓦木楼が何百年となく河筋や石板古道の両側に「鱗次櫛比」して残されています。「天人合一」といった風情の生活が営まれているようです。