東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

「満腹経綸」(まんぷくけいりん)

「経綸」はすでに『周易「屯」』に「君子は経綸を以ってす」とありますから経歴の長さが知られることばですが、「経」は絹糸を並べて織機の台に据え付けたタテ糸で、「綸」は糸をよりあわせること。二文字を合わせて国家を治め整えるという意味を表します。それが「満腹」をつけて「満腹経綸」(洪炎『西渡詩集』など)となったのは、経綸だけでは経綸にならなくなった事情があったのでしょう。

「満腹」には疑惑にみたされている「満腹狐疑」や不平で心中おだやかでない「満腹牢騒」などもあります。どれが先かはわかりませんが、「狐疑」は屈原の「離騒」にありますし「牢騒」となると表裏の気配すらあります。宋代に用例が多いようです。

 ここでは「満腹中枢」のおかしな政治リーダーの命令の経綸のなさをいいたかったまでのこと。わが近代国家の秩序を整える方策を紳士君、豪傑君、南海先生が酒席で論じた『三酔人経綸問答』(中江兆民・1887年)の筋のよさが知られます。

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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