東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2017年03月01日(水)
  • 自然

「筆下春風」(ひっかしゅんぷう)

 ひねもすパソコンやスマホを叩いているみなさんに聞いてみたい。杜甫がいう「筆掃千軍」(酔歌行)や韓愈がいう「筆力扛(こう)鼎」(病中贈張十八)のように、筆陣で千人の軍を一掃したり、筆力で鼎を扛(あ)げたりできるのだという筆にかけた気魄雄大な発想にはもはや実感がもてないのではないかしら。
 新聞記者は筆誅を加える記事をパソコンで叩く。筆を用いずに筆鋒鋭い記事を書く。ここはやや春めいてきた空気を察して、「筆下春風」でさらりといきたい。「筆底春風」ともいいます。自然の春より先に筆の下に春風をしのばせることならできそうです。李賀がいう「筆補造化」(高軒過)です。しばらくすれば「筆頭生花」が実感できる季節がやってきます。筆頭に力があるのは筆頭株主くらいで、前頭筆頭となると角力があるのかないのか。文戦が命運を決するとき、西柏坡新華社(河北省石家荘市)で巨筆をふるったのは毛沢東自身でした。中国の新聞には「筆掃千軍」の実感があるのです。
 

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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