東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2017年04月05日(水)
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「露水夫妻」(ろすいふさい)

 夜につかの間むすばれて白昼には消えてしまう露のような男女の仲を「露水夫妻」(蘭陵笑笑生『金瓶梅詞話「十二回」』など)といいます。愛情のない一夜の性の意味につかわれては、自然のなかで露水のもつ清冽さが読み取れません。『詩経「鄭風・野有蔓草」』では、野の草のなかに露に濡れて美しい人がいる。清らかでたおやかに。邂逅して相遇子とともによろしからん(与子偕蔵)。この露水には自由で自然な愛情が託されています。『詩経「邶風・燕燕」』では、ふたたび会えない女性を、野に遠く見えなくなるまで送るシーンで眼から大粒の涙を落として離別の悲痛に耐える姿を「泣涕雨の如し」と伝えています。自然な愛情の発露に納得です。自然だけれども正式でない夫妻。故あってのそれは、時に反道徳という現実の圧力にさらされることになります。
 国家間のイギリスとEUのあいだが「露水夫妻」であったとする論調は、イギリスにはもはや帰り路はないとでもいいたいのでしょうか。

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堀内正範氏

日本丈人の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈人の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈人の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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