- 2013年01月23日(水)
- くらし・家庭
「天衣無縫」(てんいむほう)
天女や仙女が着けている「天衣」には縫い目がないことを「天衣無縫」(牛嶠『霊怪録「郭翰」』など)といいます。たしかに飛天や仙女像をみると、身にまとっている衣装に縫い目(人為のあと)がありません。内に秘められた美(神性ある存在)の表出には人為(ファッション)を排したのびやかで自然な衣がふさわしいようです。本屋さんの雑誌コーナーで、「女性ファッション」誌のあまりの多さに出会うと、「お気に入り」に収めてあるこの成語を思うことがあります。
そこから言行が自然で障りのないようす、詩文や書画が技巧の跡を感じさせずに造形されていること、事物のありように一点の破綻もないことなどにひろく用いられています。年初の北京で、ズービン・メータ指揮のイスラエル・フィル新年音楽会があり、演奏に合わせて書家の李斌権が龍蛇走る草書で毛沢東と李白の詩を揮毫しましたが、この芸術合作を「完美無欠、天衣無縫」と伝えています。