東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2017年06月07日(水)
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「空谷足音」(くうこくそくおん)

 孤独を感じていたときの友人の来訪、心おどる嬉しい内容の便りや貴重な事物を得たときなどに、「空谷足音」(黄榦『黄勉斉文集・四』など)がいわれます。本来は山中のだれもいない静寂な谷で人の足音を聞くのが「空谷足音」です。熊や虎や猪の足音では恐ろしいですが、あるかなきかのかそけき足音は、逢い難い出会いの喜びを伝えてくれます。谷間に生えている「空谷幽蘭」は品性高雅な人にたとえます。
 都会の雑踏を避けて訪れた静かな画廊で、「空谷足音」のタイトルをつけた深山の風景画に出合って、来訪を受けとめられた安堵感を覚えました。本のタイトルや音楽グループの名や電視劇「武則天」の挿曲など「千載難逢」の意で広く用いられています。
『荘子「徐無鬼」』では、思いがけなく賢人をむかえた喜びを「空谷跫然」といっています。荘子にとって「空谷足音」といえば、隠遁の旅の途次、凾谷関で関令尹喜の懇請に応えて、後世に『道徳経』五千字を残して山中へ消えていった老子李耳の姿でしょう。

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堀内正範氏

日本丈人の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈人の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈人の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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