東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2017年06月28日(水)
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「紙酔金迷」(しすいきんめい)

 晩唐の昭宗時代の孟斧というご典医は、毒瘡の治療では百分の百という治療率で知られ、宮中でも頼りにされましたが、居宅の一室を金張りにし家具にはすべて金箔を貼りました。差し込む陽光に照らされた室内は絢爛豪華で、金彩は目を奪わんばかり、部屋を訪れた人は「金迷紙酔」(陶觳『清異録「居室」』から)といって話題にしました。贅を尽くすとともに医療での実益もあったのでしょう。そこで思い浮かぶのが太閤秀吉の「金の茶室」。利休の「侘びの茶」とは次元を異にする「迷酔の茶」でした。
 のち「金迷紙酔」は、奢侈豪華な生活環境にいわれて、現代の俗人は、もっと卑近に紙幣と金に迷い酔う姿を「紙酔金迷」といってこのことばに託しています。太平歌舞の時代、「紙酔金迷」の現場は金市場でしょうか、カジノでしょうか。ハズレ馬券の舞う競馬場でしょうか。「灯紅酒緑、紙酔金迷」となると上海の夜の繁華街でしょうか。幸田露伴も愛読した『清異録には男に整鬢を女性に作眉をする「鬢師眉匠」が出てきます。

 
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堀内正範氏

日本丈人の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈人の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈人の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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