東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2017年07月05日(水)
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「楽極生悲」(らくきょくせいひ)

 他者に先行し上に立つ人物をよく観察した古人は、その志と楽について「志不可満、楽不可極」(『礼記「曲礼上」』など)といって自制を求めています。喜楽歓愉は極端にいたらず超出せず、限度を知ることが肝要だというのです。
 とくに小人在位(君子在野)の時代には「志得満意」となり、はては「楽極生悲」(『三侠五羲「一回」』など)という姿を演じることになります。同情されるべきは下に居て、歓楽は一転して悲哀を生ずという無道の政治状況につきあわされる黎民です。
「楽極生哀」ともいい、こちらにはよく知られた「歓楽極まりて哀情多し」(漢武帝「秋風辞」)があります。秦始皇か漢武帝かといわれるほど壮大な野望に生きた武帝劉徹の少壮時の歓楽のほども、また老いとともに迎えた哀情のほども測り知れませんが、ことばは人民にも通じます。戦後「堕落論」の坂口安吾と太宰治と織田作之助の鼎談「歓楽極まりて哀情多し」(実業の日本社文庫)なら、哀情のほども庶民に届くでしょう。
 

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堀内正範氏

日本丈人の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈人の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈人の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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