東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2017年08月16日(水)
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「尾生之信」(びせいししん)

「聖人生じて大盗起こる」ということで、『荘子「盗跖篇」』には、聖人孔子がでた魯の国の大盗として盗跖を登場させています。盗跖は配下九〇〇〇人がいたという大盗賊団の首領で、『荘子』ではこの盗賊の跖が孔子に説教を垂れたりしています。

 盗跖はまた賢人で餓死した伯夷叔斉などとともに尾生という人物を生命を軽んずる愚か者の一人として取り上げています。尾生は頑固に約束を守る人物で、女性と橋の下で逢う約束をしたところが、女性が来ないで水がやってきて去らず、ついに梁柱を抱いたまま死んだということから人間本然の生を忘れた例として扱われています。しかし「尾生抱柱、至死方休」は、男性が女性を愛する堅さの意味で用いられています。

『荘子』のこの情景から芥川龍之介は「尾生の信」という小編を書いています。「女は未だに来ない」と尾生が橋の下で、恋人を待ち暮らしたように、自分もただ何か来るべき不可思議なものばかりを待っている。尾生の魂が「私に宿った」と書いています。

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堀内正範氏

日本丈人の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈人の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈人の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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