東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2017年09月06日(水)
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「虚舟飄瓦」(きょしゅうひょうが)

「虚舟」(『荘子「山木篇」』)は人の乗っていない舟で、「飄瓦」(『荘子「達生篇」』)は風に飛ばされた瓦のこと。人がつくったものであっても人が乗っていない空舟が接触して航路をふさいだりしても舟を怒ったり罵ったりしてもしかたがないし、風で飛ばされて落ちてきた瓦でけがをしてもそれで瓦を恨んだりしてもしかたがありません。
 たしかに人為なのだけれども人為によらないなりゆきであることを、のちに合わせて「虚舟飄瓦」(宋・祖慶『拈八方珠玉集』や明・湯顕祖『牡丹亭還魂記』など)として用いています。世の中に目立とうとせず、人為を廃しておのれをむなしくして事に当たって世に認められることにいうようになります。その後はなんという理由もなく加害を受けた人や後追いする手がかりのない事物をいい、さらには実用価値がないものの意味で用いられるようになりました。こうなってしまうと、もはや荘子が託した人為にして人為にあらざるものの持つ意味合いとは遠く、本来持っていたニュアンスは消し去られてしまっています。
 

 

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堀内正範氏

日本丈人の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈人の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈人の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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