東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

乾坤一擲(けんこんいってき)

 その大地の一角に立つと天地をとよもす鬨の声が聞こえてきます。北には足がすくむような崖下を黄河がとうとうと東流し、右岸を切り割って幅300mほどの深い鴻溝(広武澗とも)が行く手を拒んでいます。

かつて項羽の楚軍と劉邦の漢軍がここで対峙したもののともに渡れず、両岸から鬨の声をあげ、挑み合ってのち鴻溝を境に禹域を東西に二分して別れました。漢覇二王城と呼ばれます。のち唐の韓愈はみずから軍を率いてここに至り、「一擲して乾坤を賭す」(「過鴻溝」から)と詠じて出陣しています。「乾坤」は天と地のこと。「乾坤一擲」は、ひとたびサイを投じて天か地か、賭けに出ること。

どこにいてもいい。人生をかける事業に挑むに際して、天にむかって拳を突き上げ、「乾坤一擲!」と叫んでみる。漢楚両軍の鬨の声が天地を振るわせ、人を奮い立たせて、勝利をわがものとする力を得ることができるにちがいありません。

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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