東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2017年12月20日(水)
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「漱石枕流」(そうせきちんりゅう)

 夏目金之助が文筆名を漱石とするもととなった「漱石枕流」(『世説新語「排調」』・『晋書「孫楚伝」』から)をとりあげておきましょう。晋で才藻卓絶と称された孫子荊(孫楚)は年少のころに隠居したいと欲して、友人の王武之(王済)に高潔の士が山林に隠居する「枕石漱流」(曹操「秋胡行」など)というところを「漱石枕流」といってしまいます。王が、「流れを枕にできるのかね、石で漱(くちそそ)ぐことができるのかね」と問うと、孫は「枕流というのは耳を洗うため、漱石というのは歯を砥ぐためだよ」と応じます。世俗にまみれたことを聞いてくれた耳を洗ってやり、余計なことをいわないように歯を砥いで鍛えるのだというところなのでしょう。流俗に従わない意志を示すことばになりました。
 徂徠に傾倒し漢詩文に熱中した少年は、25歳のとき正岡子規の「七草集」の批評で当座の間にあわせといって漱石を用いています。のち文筆で立つ構えを示して。漱石は大正五(1916)年、50歳で「則天去私」を自作の四字熟語として残して去りました。
 

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堀内正範氏

日本丈人の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈人の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈人の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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