- 2013年03月20日(水)
- 動物
「走馬看花」(そうばかんか)
馬を走らせながら花を看るのが「走馬看花」です。難関の科挙に通った心躍る気分で馬を走らせて長安の街中の花を看てまわったという晴れやかな実景として唐の孟郊の詩に詠われています。(『孟東野集「登科後」』から)
それが後世になると高揚する心情での「走馬看花」の姿を離れて、事物の観察が粗略である例(清の呉喬)に用いられるようになります。そこで仔細に観察する意味合いでの「下馬看花」が登場します。こうなるともう孟郊が走馬して看た花の実景の世界にはもどれません。ことばが時とともに移りゆく例として知られます。
いまは移動や買い物ばかりが多くて風物はちょっと見ですませるパック旅行や、多用なために仔細なしごとができなかった言い訳にも使われています。聞いたほうの印象が悪くないので納得されやすいせいでしょうか。高速道路を走るドライバーのよそ見運転ともなると、これはもう看過できない「走馬看花」です。