東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2019年06月12日(水)
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「進寸退尺」(しんすんたいしゃく)

 一寸進んで一尺退くとなると、退き方が大きすぎるのでどうなるのでしょう。一方に尺では短すぎて寸では長すぎるという言い方もありますから、そのあたりは気にしながら「進寸退尺」(『老子「六九章」』など)は、得るところ少なく失うところが多い場合に、古くから用いられてきたことばです。老子はこれこそが兵法で勝利する道と説いています。唐の韓愈は、およそ二十年、薄命不幸でややもすれば讒謗にあい、「進寸退尺」ついに成るところなし、とみずからを励ましつつ採用を訴えています(上兵部李侍郎書)。 
 対しては「得寸進尺」(『戦国策「秦策三」』から)があって、范雎は秦王に寸を得たのだからただちに尺へとすすめています。貪欲なことが勝利への道だというのです、たしかに優れた研究者は満足しないこと、どこまでも貪欲であるのは必要なことです。
 高齢期の学者なら「進寸退尺」が実感でしょうし、自国ファーストに向かう大国の思惑で逆風をあびて、日本経済が「進寸退尺」にならないことを祈るばかりです。
 

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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