東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2019年06月26日(水)
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「甘井先竭」(かんせいせんけつ)

 コンビニにもスーパーにも500mlボトル詰めの「おいしい水」が棚に並んでいます。栄養成分はみんな0.台で。各地の「名水」で泉眼からこんこんと沸き出る水は冷たくておいしくて甘い。訪れた人たちはそんな甘井が涸れることなど考えもしないでしょう。
 荘子は「直木先伐、甘井先」(『「山木篇」』から)といいます。木は用材にふさわしい素直な木から先ず伐られ、おいしい水の出る井戸は汲み取る人が多くなって枯渇してしまう。八字を合わせて荘子は、才能や長所はそれがかえってわざわいになること。天年(天寿)を終える障碍にしないためには、材と不材の間にいることだというのです。
 唐の李白は士たるものは直木ならまず伐られてもしようがないし、香木ならみずからを焼いて香を証すかしかない(直木忌先伐,芳蘭哀自焚「古詩古風五十九首之三十六」から)といいます。世界各地からやってきた水を眺めながら、「甘井先竭」人生を知ってなお果敢に「直木先伐」を覚悟として生きる者がいることを思うのです。
 

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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