東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2019年08月28日(水)
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「木已成舟」 (もくいせいしゅう)

 伐り出された木材はすでに加工されて舟となっているという「木已成舟」I(夏敬渠『野叟曝言(九・一四九回)』など)は、すでに事情が定まってしまって改めることができないこと、もはや挽回できないことにいいます。この比喩としてわかりやすい「木已成舟」は古い用例がなく、典拠として『野叟曝言』よりやや後の李汝珍『鏡花縁「三五回」』などが引かれていることから清朝での新語のようです。近代にも巴金は『春「一五回」』の中で、封建時代の因習を打破する反逆の勇気を「木已成舟」として若者たちに託しています。
 木の用については、孔子が弟子の宰予を評した「朽木は彫るべからず」(『論語「公冶長第五」』)が古くから知られていますが、こちらは木の用としては否定的な事例です。
 トランプ大統領の登場による一国優先主義は、第二次大戦後つづいてきた国際協調を反転させ、アメリカ経済の回復どころか大不況を招いた第一次大戦後の二の舞を演じようとしています。歴史に学べない国際的暴挙として「木已成舟」がいわれます。

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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