- 2019年12月18日(水)
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「墨迹未干」(ぼくせきみかん)
一年の世相を漢字で表わす「今年の漢字」(日本漢字能力検定協会、応募21万余)は、やはり新元号令和の「令」でした。京都・清水寺の森清範貫主が大きな和紙に墨痕あざやかにしたためました。墨が乾くまでのわずかな間が「墨迹未干」(張集馨『道咸宦海見聞録』など)です。協定や盟約が成立して間もなく破られたときに用いられます。
有名なのは中国国民党と中国共産党が締結した「双十協定」(1945年10月10日、重慶)。蒋介石と毛沢東が調印しましたが国共内戦に向かい、「双十協定」の「墨迹未干」がいわれました。毛沢東も「墨汁未干」といっています。近くはトルコのシリア侵攻をめぐるトルコとロシアの“歴史的”合意、これも「墨迹未干」といわれました。
平和な「墨迹未干」といえば縁起の良い対句を書いて門の両側に貼って招福を祈る春聯があります。地元の書法家が住民のための「春聯活動」をおこなって、迎春の喜びをともにしようという「文化万家を進める」というもの。来年の春節は1月25日です。