東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

「不争之徳」 ふそうのとく

「不争」(争わず)でおわる書物をご存じですか。『老子』です。何もしないで「不争」(争わず)ではなく、「為而不争」(なして争わず)です。争いが常態だった不幸な時代(周朝末期)に生きた老子は、「不争之徳」(六八章)をこう記しています。

まず「善く士たる者は武ならず」(ほんとうの武人は武力をかざしたりしない)、「善く戦う者は怒らず」(ほんとうに戦う者は怒りによってはしない)、怒りは怨みを残すからです。さらに「善く敵に勝つ者は与(くみ)せず」(ほんとうに敵に勝つ者は四つに組んで完敗させたりしない)、そして「善く人を用いる者は之がために下となる」(ほんとうに人を納得させる者は相手の言い分をよく聞く)といいます。「不争(平和)」の側から掲げた「日本国憲法」は、世紀を越え世代を重ねて守るべきものであり、「武ばらず、怒らず、完膚なきまでにせず、上手に出ず」という「不争之徳」をもって「争(戦争)」の側から崩す営為を論駁せねばならないでしょう。

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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