- 2013年06月26日(水)
- 自然
「旧雨新知」 (きゅううしんち)
遠い日の雨と近ごろの雨とが「旧雨今雨」(杜甫「秋述」から)です。といって雨そのもののことではなく、かつては秋の雨の日といえば車馬絶えず友人がよく訪れてくれたのに、いま長安への旅の途次、貧しく病に臥している身を雨を冒して訪ねてくれる友人もないと、詩人杜甫は述懐しています。連綿と降りつづく雨、来ない友人を待つ杜甫の晩年の哀切さをかみしめるのも味のうちですが。
新しい知己を加えて、「旧雨新知」(張集馨「道咸宦海見聞録」など)ということになれば、新旧の友人が一堂に会するにぎわいの場となります。うっとうしい雨の日、待たずに出かけて歓談するのもまた人生の味のうち。人の出会いばかりでなく、大家枯淡の労作と新進気鋭の力作とが並ぶ書画展もまた「旧雨新知」の出会いの場。
わが国特有の「梅雨(つゆ)」。関東甲信越では「梅雨入り」が6月8日ころ、「梅雨明け」は7月21日ころ。稲の生育には恵みの雨の季節です。