東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

  • 2013年09月04日(水)
  • 動物

「蛙鳴蝉噪」(あめいせんそう)

 蛙が鳴いて蝉が噪ぐというのは、親しい夏の風物です。とくに蝉の声は、一声一声、短い生を知って生きることの謳歌、小さい命の大合唱です。ニイニイ、ヒグラシ(カナカナ)、ミンミンゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシ・・それぞれに鳴き声に特徴があり、現われる順もあるので、曲調は少しずつ移ろっていきます。

芭蕉の有名な句「閑さや岩にしみいる蝉の声」は旧暦5月末の山形・立石寺の作なので、ニイニイゼミと調査結果が出ているようです。荘子の「蟪蛄(けいこ・夏ゼミ)は春秋を知らず」は、凝縮された生へのいとおしさを掬いとっています。蘇軾の「蛙鳴青草の泊、蝉噪垂楊の浦」も人の賑わいの中に生きものの声を聞いています。

蝉の声が途絶えて虫の音が引き継ぐ季節の転回。「蛙鳴蝉噪」(儲欣『唐宋八大家文評「韓愈・平淮西碑』など)が、比喩として低俗な文章や内容のない議論をいうのはなぜでしょう。炎熱の夏を終えて、成熟の秋に期待するということでしょうか。

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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