東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

「信言不美」 (しんげんふび)

 老子は「信言不美」(信言は美ならず)といいます。対句として「美言不信」(美言は信ならず)とつづきます。李耳(老子。生没年とも不詳)は、人生の終わりに近く、衰亡の淵にあった都の洛陽を離れて西方へと隠遁の旅に発ちます。周室の蔵書の官として冊簡(文献)を読み解き、王都にいて現下の世情をつぶさに見て、人為を知り尽くした末の行動でした。

中原と西方の山地とを分けるのが函谷関。関を出てしまえば蓄積してきた知識ももはや何の意味もありません。老子の胸の奥にうごいた感慨を察して、関令の尹喜は熱く懇願します。李耳は関にとどまり五千余語の『道と徳の経』を残しました。そして最後の章に「信言は美ならず、美言は信ならず」(『老子「八一章」』から)と謙遜のことばを記して山中へと消えていきました。対比される孔子は弟子たちに囲まれて死にましたが、老子の最後は「終わるところを知るなし」なのです。

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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