東京都新宿区の校正・校閲会社、円水社(えんすいしゃ)のブログ

「大殺風景」(だいさっぷうけい)

 時代が後退期にあることの兆候を自然の風景を壊す営みとして「殺風景」(「雑纂」から)と呼んだ詩人李商隠は、「看花涙下」「苔上鋪席」「花下曝褌」「游春重載」「果園種菜」「背山起楼」「煮鶴焼琴」・・と列挙しています。カワウソが獲物を岸辺に並べるように、獺祭魚(だっさいぎょ)を手法とした商隠ならではの時代諷刺なのでしょう。詩人の興ざめの事例は「不忍聞」に「市井穢語」「乞児夜号」とつづきます。

むろん李商隠は「大」など付けてはいません。後世の俗人が同時代人の営為を「大殺風景」と呼んで批判の対象としてきたようです。最近の例では、上海の古寺「静安寺」の景観を無視して囲むように高層ビルが建ち、現代の「大殺風景」を現出しています。歴史環境保存の好事例として、京都の景観への対応が議論されているようです。もうひとつ、杭州西湖の白堤のほとりで脚を洗う「西湖洗脚」を、殺風景としたわが国の実見者の感想が話題に。「清泉濯足」も古来殺風景のひとつに挙げられています。

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堀内正範氏

日本丈風の会 代表
Web月刊「丈風」編集人

当社が永く校正で携わった、『知恵蔵』(朝日新聞社)の元編集長、朝日新聞社社友。
現在は「日本長寿社会」を推進する「日本丈風の会」を主宰し、アクティブ・シニアを応援している。 中国研究を基にした四字熟語への造詣も深く、時事を切り口に、新聞や書籍において解説を行なっている。
日本丈風の会ホームページにて、「現代シニア用語事典」も掲載。

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