- 2014年02月26日(水)
- ひと・個人(ふるまい)
「信言不美」 (しんげんふび)
中原と西方の山地とを分けるのが函谷関。関を出てしまえば蓄積してきた知識ももはや何の意味もありません。老子の胸の奥にうごいた感慨を察して、関令の尹喜は熱く懇願します。李耳は関にとどまり五千余語の『道と徳の経』を残しました。そして最後の章に「信言は美ならず、美言は信ならず」(『老子「八一章」』から)と謙遜のことばを記して山中へと消えていきました。対比される孔子は弟子たちに囲まれて死にましたが、老子の最後は「終わるところを知るなし」なのです。