- 2016年09月28日(水)
- しごと・社会
「多難興邦」(たなんこうほう)
先の「温文爾雅」(2016・3・9)の稿で紹介した温家宝前首相の発言集成である『温文爾雅』の日本語版『温家宝の雅』が上梓されて、出版記念会が9月26日に東京でありました。とりあげられた103編の発言のうちでやはり2008年5月12日に四川省汶川で起こった大地震の次の日に被災地に入って、訪れた北川中学校で黒板に白墨で板書して、政府の対策を約束し子どもたちを激励した「多難興邦」(『左伝「昭公四年」』から)が鮮明な印象を残しています。黒板に書かれた「多難興邦」の文字は、消されずにそのまま大震災を記念するため残されたことでも。現場で難を乗り越えてこそ国は興ると訴える温首相の実践行動に感激して、多くの人が義捐金活動に参加しました。
ところが5年後の2013年4月20日に起こった四川省雅安地震で、義捐金で立てた建物が損壊したり鉄筋不足が発覚して、政府側の対応が指摘されて、太夫の司馬侯が指導者晋平公に求めた本来の意味合いで改めて「多難興邦」がいわれました。