- 2017年03月29日(水)
- 植物
「火樹銀花」(かじゅぎんか)
冬の夜を明るくする「火樹銀花」(唐・蘇味道「正月十五夜」など)は、なにやら現代の大都市の夜景を思わせることばです。「火樹」は紅い火の色をした樹で、樹上に灯火を掛けつないだ情景、「銀花」は光で銀色に輝く花。
日月が同時に昇って沈む春節から月の出が遅れて夕暮れの三日月となり、半月となり凸月となり、十五夜を迎えます。元宵節です。「火樹銀花」は灯光や焔火に照らされて明るく輝く元宵節の夜景をいいます。農民は一年の幸いを満月に祈るのです。何より豊作であること、そして無事であること、子宝が得られること・・。唐の長安での一月十五日の「火樹銀花」は、そのための月への願いの明かりでした。それから農作業に精を出し、八月十五日には「中秋名月」にむかって収穫のお礼をし、月餅をいただくのが古くからの農民のならわしであったようです。いまや西安ばかりでなく、大都市の元宵節には花火をあげ、木々の枝を電飾で彩り、ビルの壁面や池の水面まで使って不夜天の世界を演出しています。一年の幸いを何に祈っているのでしょう。