- 2017年07月26日(水)
- 植物
「木雁之間」(もくがんしかん)
「木と雁の間にいる」といっても何のことやらわからない。荘子と弟子の話を聞きましょう。荘子が弟子と山中を歩いていたときのこと。よく枝葉が繁茂している良木なのに、きこりは伐るようすがない。「用いるところなし」という。悩む弟子に荘子は「不材を以って天年を得たり」といいます。求める材として不向きだったために伐られずにすんだというのです。そのあと知人のところに宿って家雁(ガチョウ)のごちそうになります。使用人が「よく鳴くのと鳴かないのがおりますが」と聞くと、主人は「鳴かないほうにしなさい」と命じます。悩む弟子に荘子は「良材と不材との間におることだよ」と答えます。
能力が発揮できず弱者が救済されない時代には、才能を突出させずといって不要とされない中間あたりにいること、有用さが目立って成果主義に利用されて才能を涸れさせてしまわないことが人生で禍災をさけ安全をたもつ流儀だというのです。「直木先伐」「甘泉先竭」ともいいます。『荘子「山木篇」』から。