- 2017年08月30日(水)
- 動物
「蟷臂当車」(とうひとうしゃ)
小さなカマキリが両臂を怒らせ通りかかった大きな車を威嚇します。自らの力を量らず強大な力量のものに抗することが「蟷臂当車」(『荘子「人間世篇」』)です。才美を是とする者の戒めとしています。またトラ飼いはトラが獲物を殺す時の怒りや引き裂く力を出させぬため、生きたものやまるごとを与えず飢飽の時を知って餌を与え、養う者に媚びるようしむけます。ウマに馴れ親しんだ者は、蚊やアブを叩いたりすることでウマが暴れて愛を失ったりします。類を異にするものを知って順わせる術を説いています。
また「蟷螂捕蝉、黄雀在後」(「山木篇」)は、荘子のこんな経験を伝えます。あるとき禁苑の栗林でカササギを見かけ、はじき弓で射ようとします。そのとき一匹のセミが木蔭で安らいでいるのに気づきます。その後ろでカマキリが斧を上げてねらい、カマキリをカササギがねらい、カササギに自分が弓を向けている。「ああ物は累を及ぼし、利と害は互いに招き合うものだ」とつぶやき立ち去りますが、苑の番人に咎められます。