- 2018年04月25日(水)
- 自然
「滄海横流」 (そうかいおうりゅう)
「滄海」は大海原、「横流」は水が四方に揺れ動きあふれること。「滄海横流」(『晋書「王尼伝」』など)は政情が混乱して社会が不安定に揺れ動くようすをいいます。「王尼伝」では滄海横流、処処不安と記して時局の悪化を例えています。明代に書かれた『三国演義』では滄海横流、方顕英雄本色と記して、混乱ののちに曹操、劉備、孫権等の英雄を輩出したように「滄海横流」のときこそ本物の英雄が現れるという意味で用いています。郭沫若も「紅江江」で同様の意味合いで詠っています。1945年の蒋介石・毛沢東による重慶談判はまさに滄海横流、英雄本色の場面だったといえるのでしょう。
反義語は「歌舞昇平」(宋・曾鞏『元豊類藁「六」』など)で、宋代に民心の穏やかな太平の世を現出したことを伝えています。わが国の大戦後に、歌舞が世情を沸かせる「歌舞昇平」が達成された1980年代の歌謡への関心が、「滄海横流」へ傾く政情と交錯しているようです。すでに長淵剛の「とんぼ」は“政界横流”の世を予感しています。