- 2019年07月31日(水)
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「玉骨冰肌」(ぎょくこつひょうき)
美しい玉が砕け散る「玉砕」は、古典では美しい女性の死を哀惜する「玉砕珠沈」や「玉砕香消」として用いられています。そして人生のひとときを梅の花のように香気を漂わせて生きている女性をいうのが「玉骨冰肌」(揚無咎「柳梢青」など)です。
玉骨は指や脚に露わですし、白く潤いを含んだ皮膚はひんやりとして。宋代の詩詞にはこの天賦のままの容姿をもつ「玉骨冰肌」の女性が多く詠われていて、蘇軾にも「冰肌玉骨」(洞仙歌)があります。現代でも才貌そろった女性を「玉骨冰肌」と形容しますが、かつての美人とのちがいは衣装や化粧で天賦の美を失っていることでしょうか。
八月に「玉砕」というと、第二次大戦中の日本軍守備隊が潔く大義に殉じて全滅したことを大本営が発表するときに使った「玉砕」を思い起こします。そしてついには「一億玉砕」までいわれました。しかし大義に死ぬ意味合いでの「玉砕」は中国では用例を見ませんし、日本では美人をいうのに「玉骨」を用いることはないようです。