- 2019年09月25日(水)
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「良賈深蔵」 (りょうこしんぞう)
新車が並びスマホが新製品で競う時代であっても、「吾聞く」としてだれもが知って自戒のことばとしているのが、この「良い商人は値打ちのあるものは深く蔵して見せないものだ」という「良賈深蔵」(『史記「老荘申韓列伝」』から)です。司馬遷は「良賈深蔵若虚、君子盛徳容貌若愚」とつづけて、徳のある者の容貌は「愚のごとし」といっています。これは司馬遷がいきいきと記録している老子が孔子に伝えたことばです。
孔子と老子は活動の時代が異なるとするのが後世の学者の立場ですが、洛陽の古い街並みを残す老城区に「孔子入周問礼楽至此処」の碑文があって、いわれを説明する現地の人たちにもありありと実感されています。孔子が「周の礼楽」を問うために周都の洛陽を訪れたときに応対に出たのが守蔵室の史であった老子で、驕気と多欲の目立つ孔子をこう諭したとされています。老子は別れ際に「富貴なる者は人を送るに財を以ってし、仁人なる者は人を送るに言を以ってす」をはなむけとしています。