- 2020年07月29日(水)
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「巧奪天工」(こうだつてんこう)
人工の精巧さが自然のつくりあげた造化(天工)に勝ることを「巧奪天工」(『趙孟頫「贈放煙火者」』など)といいます。かつて自然を畏敬していた人間とのあいだには「巧同造化」があって、人間がもつ創造能力によって自然の精巧な造化から学んでその姿に迫ろうとしていたのでした。その姿は木のもつ特徴を活かした家具、並木道、日本庭園の趣、水系による棚田の情景など・・。「巧奪天工」となると自然を超えた人為が際立ってきます。サラブレッド、車、多楽器の交響曲・・。そしてきわめつけは人工知能AIの登場です。人間の全知を超えるシンギュラリティを2045年と予測する未来学者もいて。「巧奪天工」の未来は人工・天工をも超えた未知の世界です。
見えない極小世界での自然の変異としての新型ウイルスに襲われる人類。生体としてのヒトが生き延びるための体内抗体としてのワクチン。精巧さにおいて人工が天工に勝る「巧奪天工」の一事象といえるのでしょう。その成果が待たれています。